レ・ミゼラブル

作:ヴィクトル・ユゴー(フランス)
訳:豊島与志雄ほか
岩波文庫ほか

文豪ユゴーの代表作。ひと昔前は「ああ、無情」というタイトルだったと思うんですが、最近は、洋書ばかりでなく映画でも邦題ってあまり見なくなりました。邦題って結構好きだったんですけど、絶滅傾向にあるみたいで残念です。
まずは、あらすじ。序章は有名ですよね。
主人公ジャン・バルジャンは、生活の苦しさから思わずパンを1つ盗んで、受刑場行きに。出所後、唯一優しくしてくれた教会の神父様から、懲りずに銀の燭台を盗みます。あっさり捕まったものの、神父様に「これは、さしあげたのです」と庇われるだけでなく、改めて銀製品を全て譲渡されて驚愕。神父の恩にこたえるべく、真人間になる決心をする・・・
この序章だけで、「道徳」の教科書になりそう(道徳ってまだあるのかな?)。実際、小学生の時にこの部分だけ読んだという人も多いのでは。つかみはOKということで、真人間になったジャン・バルジャンが、どのような人生をたどるのか。。。
ひたすら「いい人」であろうとするジャン・バルジャンは、哀れな女工フォンティーヌに無償で手をさしのべますが、彼女は儚い命を終えます。その後は、彼女の娘コゼットを悪人テナルディエ夫妻から連れ戻して、自分の娘として可愛がるように。しかし、コゼットにマリウスという恋人が現れてから、育ての父と娘には隙間が出来はじめ、一方ではジャベール警部が執拗に追ってきます。そんな中、パリで始まった民主化運動に巻き込まれていく皆さん。
飢えて死にそうなときに目の前にパンがあったら・・・無一文で放り出されたときに無防備に銀製品が放置してあったら・・・もちろん、盗みはいけないのですが、その状況になったら誰でも陥るかもしれない危険な誘惑です。
逆に、重そうに水を運んでいる女の子を助ける勇気、娘の恋人のために命を危険にさらす勇気、これも、あと一歩がなかなか踏み出せないことだなあと思います。
なんだろう、うまく表現できないんですけど、紙一重な心のありようがビシバシと伝わってくる。時代を問わず、変わらない人間の業の深さとでもいいましょうか。いや、そんな難しい話でもないんですが
でも、ジャン・バルジャンはいい人すぎですよね。いい人すぎて、真面目なジャベール警部が今までの信念を破壊されて、混乱のあまり自滅しちゃいました。その点、マリウスはお気楽人間ぽいのに、陰湿なやり方で義父を遠ざけておいて、恩人だとわかった途端に手のひらを反してくれちゃって・・・あのままジャンバルジャンが長生きしてたら、マリウスはやっぱり途中からウザくなって再び遠ざけようとしたに違いない。どうにもこうにも、マリウスはご都合主義にしか見えなくて、イライラしちゃいました。将来、コゼットは絶対に苦労すると思う。。。
作中でパリ市民の生き生きとした生活や民主運動が書かれていたのが、明るくてエネルギッシュで救いでした。他の部分は、主人公も他のキャラも、まさにミゼラブルなんで重たい気持ちになってしまう。

レ・ミゼラブル〈1〉 (岩波文庫)
岩波書店
ヴィクトル ユーゴー

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by レ・ミゼラブル〈1〉 (岩波文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 5

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
ナイス
かわいい

この記事へのコメント